超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2021.2.20
■「吉野林業全書」に学ぶ (89) 川路浚渫の方法④
(吉野川に沿う支流の浚渫工事)
⑤川上郷(現在の川上村)内の井光川の水源は若山峠に始まり、井光(いかり)里下を貫流して、吉野川の井光土場前に注ぐ。この水流は二里余(約8㎞)で、筏の通るところは十五町余(約1.6㎞)である。この川浚え工事は明治四年(1871年)に起工し、明治九年(1876年)に竣工した。
⑥川上郷内の武木川の水源は鷲尾峠に始まり、竜門の口難所を経て、吉野川武木(たきぎ)土場前に注ぐ。この水流二里余(約8㎞)のうち、筏の通るところは十町(約1.1㎞)にすぎない。この川浚え工事は明治三年(1870年)に起工した。
⑦川上郷内の中奥川の水源は勢州領(三重県)境の瀬戸奥字石橋に始まり、御塔を経て中奥(なかおく)里下を貫流し、吉野川字清水に注ぐ。この水流五里余(約20㎞)のうち、筏の通るところは三十町余(約3.3㎞)である。この川浚え工事は宝暦四年(1754年)に、発起人春増、大谷両氏の尽力により起工した。
⑧川上郷内の上田古川の水源は大峰山系の頂き成川山に始まり、蛇の谷を経て上谷口に出るものと、もうひとつの上谷の里の奥地蔵谷より始まり、上谷里下を流れるものが字オチゴ土場で合流し、そこから流下して上田古里を貫流して、吉野川字今西淵に注ぐ。この水流三里余(約12㎞)で、筏の通るところは、字中平土場より下流の二十町余(約2.2㎞)である。この川浚え工事は宝暦九年(1759年)に起工した。
以上の支流に対する川浚え工事は、本流工事と併せれば巨額の費用を費やしているが、このように水路を開削して、完全に流筏の便を得たといっても、以降も水路修繕費が必要となる。
参照:「吉野林業全書」
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現在では、吉野林業において木材の水運はなくなっていますが、木を運ぶための輸送路整備の重要性は変わりません。
こつこつと地道な作業で、短期的な利益に直結するものではありませんが、未来を見据えしっかり取り組むべき重要な事業です。