超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2020.8.29
■「吉野林業全書」に学ぶ (36) 杉・桧山林手入れの方法
杉・桧は植付けを行ってから3年間は、毎年2回ずつ梅雨時と夏の土用の後に下草刈りを行う。
その後4年間は、毎年1回ずつ夏の土用に下草を刈り、それを捨てずにそのまま肥料として与える。そして、植付けを行ってから8年目と9年目の両年はフジツタやその他のツル草類を取り除く。
その翌年の10年目には、小木の場合は地上から60㎝~90㎝、通常のものは地上から150㎝~180㎝までナタで下枝を打ち落とす。14~5年目になって、小木は地上から150㎝~180㎝、大きいものは地上から240㎝~270㎝の下枝を打ち落とす。なお劣勢木の枝打ちは20年目くらいになる場合もある。
ここまでは杉・桧いずれも同様に行うのだが、その後の杉の枝は自然に枯れ落ちて枝打ちを必要としない。
ただし、森の周囲の並びは一方の外側だけ枝を伸ばす。これは打ち落とさない方がむしろ得策のようである。
元来、杉は軟弱であり直射日光を嫌う。よって、周囲に枝が繁茂していれば、防風樹となり日光も遮ってくれるからである。
【備考】
萱(カヤ)の多いところでは、植付けを行ってから1~2年の間に1回11月に鍬で表土を打ち起こして、萱の根などを寒中に晒し繁茂しないように手入れしなければならない。
これは相当費用がかさむが、数年の間に何回も下草刈りに費用をかけるのと杉・桧の苗木の成長が早いことを比較すれば、この作業はかえって利益になるということになる。
よく考えて行うこと。
参照:「吉野林業全書」
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種の採取から苗を育て、ようやく山へ植付けを行いましたが、今回の解説の内容も非常に重要なものです。
杉は軟弱との記述もあるように、下草刈りなどをしっかり行わなければ枯損にも大きく悩まされます。また丁寧な枝打ちは、吉野杉の特徴でもある節の少ない優良材を生み出す大事な作業です。
製材機で原木丸太を半割にした際に、枝打ちの痕跡もきっちり現れます。芯のあたりでぴしゃっと節が止まって美しい目合いが見られたときは、「ありがとうございます!」と、静かに心で感謝します。