超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2020.8.2
■「吉野林業全書」に学ぶ (27) 山植え苗木の抜き取りとその季節
山行きの杉苗は、その日に植え終わる分の苗をその日の朝に掘り越すものであるが、深い山奥に植え込む場合は、苗畑は春であっても深山では氷雪が未だ解けず、すぐに植え込みに着手できない場合あある。
とは言え、暖かい春の苗畑では苗木に白根が生え、芽を出してしまうからこれをそのまま置いておくと、掘り起こすときに苗木の皮がむけて枯れてしまう心配がある。
そのため春の彼岸(3月20日頃)が終わるまでには全て掘り起こし、20本ずつを一束にして数束にまとめて、その植栽地近辺に運んで根元の15㎝程度を谷川に漬け置き、それを順次植え付けていくべきである。
もし遠方から取り寄せた苗であれば、すぐに山へ送り谷川の水に浸して水を十分に吸収させて、土地の風土に慣れさせた後に植え付けることが大事である。
桧苗は杉苗と大きく異なり、水に浸すことは厳禁である。桧苗を水に浸すと数日後に葉が黄色に変色し全て落葉してしまう。
よって、桧苗を畑から掘り起こすか、遠方から取り寄せた場合には、すぐに植栽地に送り日陰の適当な所に根深く埋めておき、それを順次植え付けていく。
【備考】
苗木の根には色々な種類がある。細くて数の多い髭根、切断が必要である太くて長いごぼう根、劣等苗である太くて短い鳥足、これらは発育が悪いから苗木には向かない。
ただし、1年間他の畑に移植しておけば良苗とすることができる。
参照:「吉野林業全書」
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農作物であっても苗の植付けはデリケートであると思いますが、この吉野の急峻な地への植付けはこのような制約下では大変であったと思います。
今後は標高の高いエリアは自然林に戻し、仕立ての行いやすいエリアを経済林としていこうという方針ですが、「植えれるところは全て植えた」というように標高の高いところであっても川上村のほとんどが造林されています。
逞しい先人たちです。