超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2022.10.18
■「吉野林業と優良材」に学ぶ (57) 吉野杉の沿革②
―江戸時代における育林技術-
江戸時代の吉野地方では木材は板に挽いたものや、柱材として吉野川を筏流しにて和歌山港へ運び、そこから船に積んで諸国へ販売し幾万両もの売上があったとある。
地元民はこの木材生産により、地主、木伐、木挽、山出し、筏師、仲買材木屋を問わず財を成したとされているが、これもスギの造林が広く進められたことに由来するものと考えられる。
このようなことから大蔵永常は木材生産の重要性を述べ諸国を巡り、深山、丘山、空地等がいかに多く見過ごし放置されているかを嘆き、その土地の人にその原因を問えば、土地に合わないとか、人が少ないとか、様々な理由を挙げるが、それではあまりに他国のことを知らなさすぎると指摘している。
参照:「吉野林業と優良材 (岩水豊 著)」
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吉野地方の林業の発展には、
✔京阪神地域の大規模建築(大阪城など)や商工都市発展に伴う木材需要の増大
✔需要に応える供給体制と水運の確立(吉野川筏流し~和歌山港~大阪港)
✔酒造用材として樽丸需要の増大
✔高級建築用材としての需要拡大
などの背景も絡み合うため、「土地に合わない、人が少ない」といった理由が当てはまらないわけでもありません。
苗を植えてから収穫を行うまで最低でも約50年を要する林業において、確実な需要の確保は難しいところなのですが、そういった面でもニーズを取り入れた商品開発や木材利用促進の発信などといった、出口戦略も一体となって取り組んでいくことが重要であると考えます。