超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
- HOME
- >
- 超現代語訳 川上村の吉野林業を学ぶ
2022.1.9
■「吉野林業と優良材」に学ぶ (22) 吉野林業の発展と林業制度⑤
-借地林制度と山守制度-
川上村において、村外地主の所有山林面積は全体の88%に及んでおり、それらは全て山守によって管理されているが、所有区分によって撫育手入れに大きな違いはなく、同じ育林技術体系のもとにほぼ同水準の施業が行われている。
つまり、その結果として生産される木材はほとんど同じ材質のものとなるわけである。
なお借地林制度は、明治時代の土地登記法制定により、所有権の移転が行われていったために、実質的にはほとんど崩壊してしまった。しかし、山守制度は経営上山林所有者、山守双方にメリットがあるため現在も便宜的に存続しており、実質的かつ有効に機能している。
このように見てくると、現在の吉野林業は、村外商業資本の導入による山地の開発と、それを森林所在地において、実質的に経営を支配してきた山守の旺盛な生産活動によって発展してきたと見ることができる。
参照:「吉野林業と優良材 (岩水豊 著)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
吉野林業が、日本三大人工美林と言われるまでに発展し、吉野杉、吉野桧というブランドを築いてきたことについて、借地林制度や山守制度といったものが大きく寄与したことは間違いないでしょうが、そこに山主、山守双方の山づくりに対する熱い思いが存在していたことを信じてやみません。