超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2021.6.27
■「吉野林業と優良材」に学ぶ (2) 吉野林業地帯の概況②
吉野林業地帯の地質は、秩父古生層、中生層に属して、基盤岩は黒色石墨千枚岩、砂岩、粘板岩、凝灰岩、硅岩、角岩、石灰岩で構成されている。
土壌は埴壌土(粘土分の組成が全量の37.5~50%に入るもの)、または砂質か礫質で、石灰、マグネシウム、リン酸、カリウム、硅酸塩類を含んでいて、さらには多量の腐植土(腐った植物でできた土。黒色で有機物を多く含む。)を有しているため、保水性もよくスギ・ヒノキの成育に適している。
気象条件は、平均気温14°、年間降水量は吉野川流域で約2,000㎜、大台ケ原で5,400㎜といった多雨地帯である。
積雪も一部高地を除いて20~40㎝程度、西向きの風が多く、年1、2回程度の暴風を受けることがあるが、気候は穏やかで材木の成育に適した環境である。(気象条件参照:1954年北村又左衛門「吉野林業概要(改訂版)」)
参照:「吉野林業と優良材 (岩水豊 著)」
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土壌に関しては、ブラタモリ的なマニアックな専門用語が並びますが、科学的な分析を抜きにしても、山いきさんたちからは「地力」の話をよく伺います。ここは地力が強いので成育がよく、吉野杉の赤も美しいといったような話です。
吉野杉・吉野桧は、撫育と言われるまでの育林にかける情熱と、自然の恵みの力が合わさって生み出されるものです。林業従事者の減少も大きな課題ですが、自然環境の保全も、次の時代に吉野林業を継承するためには重要なファクターとなります。
そうなれば、気象条件にも同じことが言えますが、昨今の温暖化による影響は地球的規模のお話となります。まったなしの厳しい現実は、コロナの夜が明けてもまた大きな壁となって立ちはだかってきそうです。