超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
- HOME
- >
- 超現代語訳 川上村の吉野林業を学ぶ
2021.3.6
■「吉野林業全書」に学ぶ (96) 桴(ばち)筏の仕様①
二間(約3.6m)筏は、十五床を繋ぎ合わせて一鼻とする。また二間(約3.6m)と三間(約5.5m)を組み合わせると長さ三十間(約55m)となるので、これもまた一鼻である。例えば二間三床と三間八床の組み合わせ、二間六床と三間六床の組み合わせもそれぞれ三十間で一鼻である。
この筏は繋ぎ合わせる前に水をかけて湿らせ、小砂を塗ってシュロの皮でこすって洗う。そして表面に木材の持主の名義を書く。(書き付ける場所は表皮を鎌で削る。) また先床には、送り主と受取人の住所氏名等を記して、中次問屋の名も加えて刻印を打つ。
もっとも刻印は、材木を二間あるいは三間に小切った時に、ただちにその木の両口に打つのである。もし誤って刻印を打ち忘れた場合は、土場または筏編み場で必ず打つこと。というのも、流出した際に荷主の証拠となって回収できるからである。
参照:「吉野林業全書」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
筏の全長にも驚きですが、刻印の解説が気になりました。
現在でも、吉野木材協同組合連合会(原木市場)に出荷される川上村の吉野杉・吉野桧には刻印が打たれていて、トレサビリティーにも活用できる川上村産材の証のように思っていましたが、そもそもは「筏流し」での保険のようなものだったのですね。
刻印を見れば産地や生産者がすぐに判別できるのですが、各素材業者さんの特徴が表現されていて、市場の原木を見る時の楽しみでもあります。