超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2021.2.13
■「吉野林業全書」に学ぶ (86) 川路浚渫の方法①
筏を流すため、毎年白露(9月8日頃)の頃に洪水のない時期を見計らって、川路の浚渫(水底をさらって土砂などを取り除くこと)を行う。
その方法は筏を流しやすいようにするためで、岩石の大きいものはフードルで破壊し、小さなものは二本足か三本足の鍬でかき取る。また、台堰(組み立てた枠に、横木を通して乱杭を打ち、カヤや杉皮を用いてつくる。)を設置し、水を溜めて岩石を水中に埋める。
筏の通る水路の両側には脇堰(にらみ堰ともいう。仕様は台堰と大差はない。)を設置し流れを深くする。水流が一方に傾いてしまって岩石に触れる場合は、切張り堰を設置する。それでも水流が片落ちするところには、箱枠、流枠、丸枠、といった当て枠を設ける。
水底の深浅や水勢により作る大きさは調整するのであるが、通常の箱枠は、長さ二間半(約4.5m)、幅一間(約1.8m)、高さ五尺(約1.5m)の4本の柱に横貫2本を付け、その四方に乱杭(地上や水底に数多く不規則に打ち込んだ杭)を立てて、底に建杭一本挟みに横木を並べキリギリス籠(当時の虫籠でしょうか)のように作る。
流枠は箱枠の一方の柱二本を取り除いた物のように作る。丸枠は直径七尺(約2.1m)、高さ四尺五寸(約1.4m)として、2個の竹の輪に乱杭数十本を括りつけて、底には枝葉の付いたままの小さな雑木を数十本置き、その根元を周囲の乱杭の間に入れ末端を枠の中に打ち重ねる。そして、手頃な石を中にたくさん詰めて筏が当たっても動かないよう、または、大水で破壊されないように注意する。(この枠は陸地で組み立て、川に入れた後に、水中で石を入れる。)
水が浅く砂利のある所はジョレンで掘り、この掘った両側に撫杭を建て(掘り上げたあぜの中側に数本建て)、最も高い場所の杭に水路標を設置する。
参照:「吉野林業全書」
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大きくて重い木材は、運搬という要素も非常に重要になります。いかに効率的に量を運搬できるかというところに知識や技術が注がれていますが、何よりもやる気というか、すさまじい熱意を感じます。