超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2021.1.16
■「吉野林業全書」に学ぶ (80) 材木管(くだ)流しの方法①
管流しは谷川の水の少ない所、または岩石が多く筏(いかだ)の通らない所で行う。その場所を見て所々に塞(せき)をつくり水を貯めて、木材を流すものである。
この塞は、岩石の多い所へ材木を横に倒し、これを土台として下手に支柱(つづ)を張り、縦に棒を立てたところに材木数本を横に積み重ね、その上に重りを載せて固める。材木を重ねたその隙間には苔(こけ)を詰め、その上に土を被せて水を貯め大きな渕とするのである。
この両側には足場をつくり作業用の通路とする。岩石の多い所では、材木で滑り板をつくり木材を流しやすいようにする。このような塞は下流に向かって適当な場所に次々と設置する。
こうして流した木材を、大きな川の筏編みの場所にある揚げ場で引き上げる。塞には一人か二人、揚げ場には数人、大径木の場合は数十人の作業員を要する。
参照:「吉野林業全書」
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大迫ダムや大滝ダムが完成し、今となっては筏流しも行われない大きな川は様変わりしていますが、そこに注ぐ支流は今も青く輝き美しい流れです。
ただこれを堰き止めて材木を流すとなれば、解説では簡単なようですが、かなりの労力だっただろうと想像できます。長雨や台風で普段は穏やかな流れも、かなりの急流になっていますので、作った塞も度々流されたことでしょう。