超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2021.1.10
■「吉野林業全書」に学ぶ (78) 材木木馬(きんま)出しの方法①
杉・桧その他の材木を木馬で運搬するには、まず道路(道幅七尺≒2m10㎝)をつくらねばならない。
この道路には番木(道路に横に敷く丸太)を据え付ける。道路の急峻な所(五寸バエ以上=15㎝勾配以上)には、杉・モミ類の挽き割り物を二尺(約60㎝)ごとに伏せて、平坦な所(五寸バエ以下=15㎝勾配以下)は、カシその他の堅木を二尺(約60㎝)以内の間隔で伏せる。
この番木の両端は、長さ一尺五寸(約45㎝)、周長六寸(約18㎝)の止杭で固める。もし岩や木の根があり止杭の利かない場合は、鉄線で下に落ちないように繋ぎ止める。
さて、番木の長さは通常四尺(約1m20㎝)であるが、道路が屈曲する所では五尺から六尺(約1m50㎝~1m80㎝)のものが必要である。挽き割り物は幅三寸(約9㎝)、厚さ一寸五分(約4.5㎝)で、丸太は末口三寸前後とする。
そして、この木馬を使って坂道を登る場合は、牛馬に引かすのが最も便利である。
参照:「吉野林業全書」
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現代においては、木馬が什器やトラックに置き換わるこの重要な作業道ですが、林業従事者の激減によって整備はうまく進まず、急峻な地形の吉野林業の出材はヘリコプターに頼ることになります。
ランニングコストが高額なヘリに頼る限り、原木丸太での利益は薄く、利益の出ない間伐材の出材は見送られるという状況です。打開策を導くには単純検討では不可能な状況であり、今こそ川上~川中~川下が一体となり、未来像のベクトルを一致させなければなりません。