超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2020.12.19
■「吉野林業全書」に学ぶ (72) 材木滑り板出し(修羅出し)の方法②
「修羅出し」において延長の場所や曲がりの所のウス場には、長さ七、八尺(約2m10㎝~2m40㎝)、末口一尺(約30㎝)以上の松を横に倒し(ウスと呼ぶ)、その後ろは十分堅固にする。そしてこのウスの適当な所に穴を開け大きなフジで岸に繋ぎ、滑ってきた木材が突き当たっても落ちないようにする。
ウスの名称は次のようなものである。
キヤ臼:組み立てた材木に松材を伏せる。
ジキ臼:立木の根に直接繋ぐ。この方法は厳禁。
株 臼:木の伐り株に直接繋ぐ。
土 臼:土に直接伏せて杉葉を入れる。
石 臼:松樹を伏せるもの。
ヤナ臼:滑り板を一、二枚上向きに傾けて逆に作る。
これらの臼はその場所と状況に合わせてつくる。
最初の材木の置き場、最終の積み場には数人の人員を要し、ウス場には下ってきた材木を下に送る人員が必要である。それぞれ互いに声を掛け合って、危険を防止せねばならない。ウス場が遠く声が届かない場合は声つれ(掛声専門の人員)を配置する。
滑り板がとてつもなく急峻で、木材の滑降が非常に急激な場合は暖簾(ノレン)をつくる。滑り板の両脇に杭を立て、高さ六、七尺(約1m80㎝~2m10㎝)の所に横木を設け、これに木材を編んだものを斜めに吊って、滑り木の激しさを緩和するのである。
逆に平坦で滑りの悪い所では、種油を塗ったり水を撒いて滑りを良くする。その他、様々な状況に応じて、「修羅出し」の作業人の経験と知恵によって工夫がされることと思う。
杉・桧以外の木材も「修羅出し」をする時はこの方法と大差はない。
参照:「吉野林業全書」
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やはりそうですよね。想像以上に危険で過酷な作業だっただろうと想像できます。特に大径木の出材は修羅場だったことでしょう。
現在でも急峻地形での伐採や玉伐りを行う川上村の吉野林業では、ちょっとした油断が大事に繋がってしまいます。