超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2020.9.26
■「吉野林業全書」に学ぶ (47) 杉・桧皆伐の方法
杉・桧の山林は、通常100年から110年の間に適当な時期を見計らって皆伐しなければならない。その季節は夏の土用が良い。
伐る順序は山の頂上から伐り始め、大鋸で追い口(伐り倒す反対の方向)から挽き、その挽き目にカシ材の楔(長さ18㎝ 幅9㎝)をはめ手頃な小槌で打ち込む。
受け口(木を伐り倒す方向)は、(伐根直径の)およそ4分の1程伐り込み追い口は鋸で挽き、徐々に楔を打ち込んで山の高い方へ倒す。俗に登し伐りと言う。(上方伐倒)
もし危険な場所で伐倒しにくい場合は、まず細綱(長さ30m弱 重さ約400g)の端に100g程度の石をつけ、伐倒する木の中間の枝に投げ掛ける。これで細綱は石の重みで当然下がってくるので、この石をつかんで一方に手繰りその端に大綱(長さ30m弱 重さ7.5㎏)を結んでつなぐ。
この大綱を手繰って細綱を取り去り大綱の一方の端を60㎝位の輪に結び、この中へ一方の端を入れてこの輪を放して一方に引っ張る。これを輪結い(わゆい、またはズルズル)と言う。
そして、その端を木の伐り倒す方向の遠くへ結びつけておき、木が倒れようとする時にこの綱を引っ張って引き倒す。それでもなお容易に倒れない場合は、大綱に車(飛び車とも言う)をつけ適当な所で引っ張って倒す。
皆伐の際に立て木または締め木というものがある。樹木の中で最も生育が良くかつ木質の良いものを選んで、これを伐採しないでおくのである。
その山の広さに応じて1ヶ所に数本、または数十本を残しておく。これは後年になり二代木といって、帆柱や天井板等に用いられ非常に高値で取引される。
参照:「吉野林業全書」
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現在ではすでに、100年~110年のサイクルで皆伐を実施することはほぼありません。木材価格の大下落による出材量の激減、林業施業従事者の減少、様々な理由はあります。
外材や新建材の台頭で国産無垢材は使われなくなり、使い方を知る人も減り、様々な規制は木を使えなくしている、という散々な状況も続いています。
そんな状況で「国産材を使おう!」
何だかなあ、と思う人がほとんどかと思いますが、もう昔に戻れる状況にないのだから、使いたくなるもの、使いやすいもの、使えるものに変えることを、「具体的に」考えていくしかないと思います。
いつか良い状況がやってくる、誰かが何とかしてくれる、国が助けてくれる!
のかもしれませんが、それまでに終わりが来てしまいます。