2020.8.13
■「吉野林業全書」に学ぶ (32) 山地への杉・桧植付けとその季節 ②
苗木の植付けは杉・桧をそれぞれ混植すると、その利益は実に大きい。
混植の割合は土壌によっても違うが、
最上等地 杉:桧=9:1
上等地 杉:桧=7:3
中等地 杉:桧=5:5
下等地 杉:桧=3:7
最下等地 杉:桧=1:9
といった割合とするのがよい。
杉の苗木は至って軟弱であるので暴風や大雪によって折れやすく、その上、直射日光を嫌うので、上等の杉の適地であっても桧と混植すれば桧の葉が平らに密接して日光を遮り、加えて強靭性も持っているから、暴風大雪にも折れる心配もなくおおいに杉の生育を助けてくれる。
また、下等の桧の適地でも杉を混植すればその利は大きい。桧の苗木の価格は杉より高い上に、植付け後25年位は間伐材として利用できない。つまり、杉を混植すれば植付け時の苗木の価格も下げることができて、早い時期では杉を間伐して桧を残すことで杉の間伐収益があり、その上、杉の枝葉が腐って肥料となり桧の生育を助けるのである。5回、6回と間伐を重ねれば杉を伐り尽くして良材の桧が残る。
ただし、間伐は均一な優良木を残すために行うのであるから、杉・桧に関わらず不良木を伐採していくのが原則である。
参照:「吉野林業全書」
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単純に杉と桧に適した土壌に植え分けられていたものと思っていましたが、収益のために杉・桧の生育特性や土壌の良し悪しを補完させるように混植していたとは・・・。
やはり吉野の森は人の手が生み出したものですね。