超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2020.7.23
■「吉野林業全書」に学ぶ (22) 杉・桧床苗の覆いの仕様
播き付け後の杉・桧の種子は約25日後には発芽し、そこから4~5日で芽に冠った殻を落とす。
杉は淡紅色の三葉を開き、桧は緑色の二葉を開くのであるが、4~5日ですぐに芽は伸びて長さは2㎝弱となる。
この際に地面に敷いていた覆いを取り払い除草した後、覆いを高く仕替える。
まず、畑の周囲に床苗の面積に応じた適当な数の高さ約60㎝の枝付きの杭を打ち、枝の二股になったところに桁を掛ける。
そして、取り払った覆いの栂(つが)または、樅(もみ)、桧(ひのき)の枝柴を、細かい竹か木で幅約90㎝長さ270㎝程度に編んで桁の上に並べて蓋をする。
栂(つが)、樅(もみ)、桧(ひのき)を入手できない場合は代用品でも良いが、隙間から日光や雨水の浸潤がある薄いもののほうが効果があり、厚すぎると苗木が枯れてしまう。
その他、苗床で注意すべきは害虫と土鼠(もぐら)である。
害虫には煤(すす)を混ぜた水か、鶏糞を溶かした水を撒く。虫害がひどい場合は、その害虫の巣のある土を取り除き、そこに石灰水を散布し虫害蔓延を防ぐ。
土鼠(もぐら)の予防には畑の周囲に石油を注ぐか、板や杉皮などを土中に埋めて侵入を防ぐ。
参照:「吉野林業全書」
写真:殻を冠った吉野杉の芽(下)
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石灰水とか石油とか、なかかな時代を感じさせる解説ですが、様々な脅威から苗木を守る戦いは今も変わりませんね。
さて、種から苗木までの解説を追いかけていますが、山に植付けられるのはまだ先です。しかし、吉野杉・吉野桧たちへの「撫育」はすでに始まっているなと感じる丁寧な仕立てです。