超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2020.4.19
■「川上村史 通史編」に学ぶ (24) 土倉庄三郎と中村弥六
「吉野林業全書」刊行の翌年、明治32年(1899年)、中村弥六(日本で第一号の林学博士)とともに『林政意見』を発刊しました。
その趣旨は日本の総面積の内7分の6は山林原野であるから、政府が積極的に造林を利用すべきである。林野関係予算が少ないことも問題であるが、ともかく放置されている造林を手掛ける必要がある。
また、政府は民間から山林の買い上げを考えているが、それよりも旧来所有の山林に早く造林すること、他面地方自治体へも山林を残してその運営を任せば、地方自治体の基本財産も増え地方政治も安定する。国は栄え洪水の危険からも防がれるというものでした。
3年後には『再ビ林政ノ刷新ヲ論ズ』を発刊し、主張をさらに世論に訴えました。
参照:「川上村史 通史編」歴史編第十二章 土倉庄三郎抄伝
画像:国立国会図書館デジタルコレクション「林政意見」「再ビ林政ノ刷新ヲ論ズ」
画像:国立国会図書館デジタルコレクション 電子展示会「近代日本人の肖像」 (中村弥六)
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いずれも政府に対する痛烈な批判であったわけですが、「吉野林業全書」という山づくりの取説ともいうべき書物の発刊後で、庄三郎のとてつもない自信も感じます。同時に林業への憂いも見えてきます。
このような確たる信念や自信を身にまとうには、まだまだ、まだまだ頑張らねばなりません。庄三郎の憂いが解消される日を信じて。