超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2020.4.18
■「川上村史 通史編」に学ぶ (23) 土倉庄三郎の吉野林業全書
土倉庄三郎の名声は年ごとに高まり、全国からその山林経営の実態を見聞しようとする人々は増加の一途をたどります。こうした時勢を察して、庄三郎は父祖伝来の造林技術の上に自らの考究研鑚を重ね工夫を加えます。
その成果を世に問うため、明治31年(1898年)に『吉野林業全書』を刊行したのです。
同書の巻頭には、山縣有朋、品川弥二郎をはじめ御料林局長 岩村通俊、奈良県知事 水野寅次郎の題字・序文があり、林業博士 中村弥六校閲、土倉庄三郎校閲、伊藤庄一郎賛助の後に、森庄一郎著と記されています。
森庄一郎は川上村北和田の人で、家業は酒小売と日用品雑貨を扱っていましたが、明治17年から土倉家に出入りし、庄三郎が在宅の時は書記の仕事、外出時には随行をしていました。吉野林業全書の校閲は庄三郎となっていますが、実は庄三郎が口述し森庄一郎が筆記して文章を整え、中村芳水が毛筆で版下清書したものと考えられています。
特に伝わりにくい技術的な面は、画工 小林芳崖に画を描かせ、田無瀬芳嶺が彫刻するという凝りようで、九十五図で具体的に示し文章と描写画が評判となりました。
参照:「川上村史 通史編」歴史編第十二章 土倉庄三郎抄伝
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出版費用は約5,000円(現代の価値で5千万円以上)だったようですが、増刷分も含め大部分を各府県の山林関係者に贈呈したそうです。
今日でも絶賛される全国の林業家のバイブルですが、庄三郎が心血を注いだ吉野林業の森とともにしっかり形となって残されています。